2025年の夏に鎌倉を訪れた際、笹野一刀彫という郷土玩具に出会った。
海のすぐそばにある雑貨屋「Talk」の窓辺にちょこんと座る木彫りの鶏を見た時、可愛らしさと確かな技術が同居するその有り様に惹かれて購入した。惚れ惚れと掌中の鶏を眺めていたわたしに、海が似合いそうなお洒落な店主がこれは笹野一刀彫という山形の郷土玩具だと教えてくれた。

同年の秋に1週間かけて東北を旅行することが決まった時、わたしは一番にこの笹野一刀彫を尋ねることを旅程に組み込んだ。笹野一刀彫は山形県の米沢市、笹野という小さなエリアで作られているが、幸いにも駅からタクシーで20分ほどで着くことができた。
笹野一刀彫とは、古くは笹野観音へ奉納した「削り花」を指したという。乾燥させたコシアブラの木を小刀で削ってつくる繊細でかわいらしい花が、雪深く現代のように容易く生花が手に入らない冬に色を添えてくれる貴重な存在だった。
今でも1月17日の笹野観音十七堂祭で販売されているそうなので、来年はぜひ山形へ買いに行こうと思う。


「お鷹ぽっぽ」と呼ばれる鷹の木彫りが最も有名だが、わたしが好きなのは「孔雀(羽を閉じた姿)」と「尾長鳥」だ。どちらもコシアブラを削った部分がくるりくるりと丸まって重なって、繊細かつ優美な美しさがある。自然に生きる動物たちの美しい姿を実に上手く写し取っていて、見れば見るほど素晴らしい。




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