日記(2026.06.11~15 腐草為螢)

6月11日(木)

ちょうど七十二候の「腐草為螢(くされたるくさ ほたるとなる)」にあたる日ということで、仕事終わりに蛍を見に行った。19時半を過ぎてもあたりはぼんやりと明るく、夏の日の長さを感じた。

20時くらいになるとようやく真っ暗になってきた。「ほたる祭り」と書かれた行燈が並んでいるだけなので足元はおぼつかないが、懐中電灯やスマホの光は蛍が嫌うので真っ暗の中じっと佇んでみる。
暗闇に目が慣れたころ、ふいに視界の端をすうっと光の帯が横切った。小さな光は数秒おきに光ったり消えたり、集まったり離れたりを繰り返しながら川の上を飛んで行った。遥かな昔の人々も、この小さな蛍の光を哀れんだり儚く思ったりしたのだろうか。

2時間くらいで再び人工の光にまみれながら電車に乗って家路に着いたが、あの小さくて力強い光はずっと記憶の中に残り続ける気がしている。

6月12日(金)~13日(土)

有給を取って倉敷へやってきた。高校生の頃訪れて以来、実に15年ぶりだ。
倉敷民藝館や日本郷土玩具館、登録有形文化財の建物や手仕事のものを売る民芸店など、倉敷は古きものが美しく保たれている街だ。柳が揺らぐ川を中心に見どころがコンパクトに集まっていてとても充実した1泊2日の旅になった。

倉敷での宿は歴史ある旅館「鶴形」にお世話になった。
仲居さんが部屋まで料理を運んできてくれる「部屋食」を初めて体験したが、慣れないせいか料理のはじめ頃は「いつ仲居さんがふすまを開けるか分からない」という緊張感の方が勝っていた。途中付けっぱなしにしていたテレビから川を泳いで渡る熊のニュースが流れ始めて「あらぁ、熊って上手に泳ぐのねえ」「この辺(倉敷)は熊は出ますか?」「この辺はさすがに出ませんねえ~、もし出たら心臓止まっちゃうワ」なんて会話をしてからは、緊張も和らいで食事を楽しめる余裕が生まれてきた。

宿泊した日はちょうど鶴形の庭に植わっていた樹齢400年超えの松の剪定作業をしていて、宿の前に大きなクレーン車が停まっていた。宿の外観を撮ろうとしてクレーン車のツーショットになってしまうことを少し残念に思っていたら、宿のご主人が「今日は年に一度の松の剪定の日なんです!職人さんが丁寧に剪定してくださっているので、よかったら見ていってくださいね」とにっこり話しかけて下さって、そうか宿の方々にとっては年に一度の大切な日なんだなと思い直して丁寧にシャッターを切った。

6月14日(日)

わたしのアパートのベランダにはさくらんぼの鉢植えがある。昔、祖父母の家にさくらんぼの木が植わっていて、初夏にちぎって食べていたことを思い出して買ってみたのだ。
肥料や水をやったり日当たりを気にしてみたりと色々世話を焼いてみたが、今のところ特に甘くも無く酸っぱくもない味わいのさくらんぼになっている。恐らく思い出補正がかかっているのだろうが、食べて美味しいと思えるものを育てるのはなかなか難しい道のりだ。

そんな風に上手くいかないさくらんぼも、今年は豊作らしくスーパーでの値段がひときわ安くて嬉しい。

6月15日(月)

6月のはじめにせっせと抽選に申し込んだ「フェルメール展」に無事当選した。やった!
9月の平日の枠に当選したので、さっそく有給を申請しなければ。朝一番の時間帯だったので比較的混雑もなく見られるのでは?と期待しているけれど、果たしてどうだろう。

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